アトピーと抜け毛は関係あると思いますか?
素人的にザッと考えても、アトピーの人の髪の毛が抜けやすいと考えている人は少なくありません。学説的にはこれだというはっきりしたエビデンスはまだないと言われています。
しかし、あれこれ、考えていきますと、アトピーと抜け毛は無関係ではないと言いきれないようですし、関係ありとする専門医も少なくありません。アトピーと抜け毛が偶然にも同時に発生することは勿論あります。その一方で、アトピーだから抜け毛が発生することがあるのか、検討してみたいと思います。
アトピーの症状は頭部にも及ぶ
アトピーは治療している途中でも増悪、軽快を繰り返し、強い痒みを伴った慢性の皮膚疾患です。アトピーの皮膚の症状は顔〜頸〜四肢、体幹と全身に及びます。そしてアトピー性皮膚炎診療ガイドラインを見ると、「頭」にもアトピー様皮膚症状があると記載されています。
頭は皮脂が多く、皮膚炎を起こしやすい部位。アトピーも頭にできることがあるとなると、素人では見分けが付きにくいだけでなく、治療法も異なるため、医師の診断が必要となります。
では、アトピーになる人、ならない人、何が違うのでしょうか?
大体のアトピーの人が、アトピー素因をもっているといわれています。
アトピー素因とは?
➀近親者がアトピー・気管支喘息・アレルギー性鼻炎や結膜炎のどれかになっているか、複数の病気になっている
②IgE抗体を作りだしやすい
※IgE抗体:免役に関与しているたん白質。健常な人の血中IgE濃度は低く、アトピーの人(約8割)の血中IgE濃度は高値。
アトピーの人の頭皮はバリア機能低下
頭皮も顔の皮膚の延長にあり、皮膚です。
アトピーの人の皮膚は、全体的にバリア機能が低下しています。正常なバリア機能は外部からの菌や有害物の侵入を防ぐ役割をもっています。このような症状の出方には個体差があり、頭皮、顔、体幹、どこにでも出てきます。
そこで、気になるのが頭皮にアトピー症状が出た場合、髪の毛が抜けやすくなるのかということです。
頭皮にもアトピーがあれば、強い痒みや湿疹ができます。また、皮膚が乾燥しやすいため、さらにバリア機能が下がります。
このような状況は髪の毛にどのような影響を与えることになるのでしょうか?アトピーは抜け毛を増やしてしまうのでしょうか?
アトピーと抜け毛の関係
アトピーは強い痒みを生じます。痒いため、頭皮を掻きむしり、頭皮にたくさんの傷がつきます。同時に髪の毛も無理な摩擦のため、キューティクルが剥がれ、乾燥も強くなり、さらにバリア機能が低下します。
また、掻きむしることで毛根、髪の毛を作る毛母細胞にまでダメージを与えてしまうことがあります。その上、キューティクルが剥がれることで薄毛や脱毛が進行します。
アトピーがアレルギー疾患であることは周知の通りです。代表的な脱毛症に円形脱毛症があります。
円形脱毛症は以前、ストレス説が主流でしたが、現在は、自己免疫疾患の一つでもあるといわれています。
自己免疫疾患とは簡単に言いますと、自分のモノなのに異物とみて、攻撃してしまう疾患です。円形脱毛症は重度になると、毛という毛、全て抜けてしまうのですが、それは自分の毛根を異物とみて攻撃した結果なのです。
アトピーの人は円形脱毛症の罹患率が高いといわれています。その原因としてアトピーも円形脱毛症も同じ免疫異常であるためではなかろうかと予測されています。
このようにまだまだ研究していかなくてはいけない分野ではありますが、アトピーと抜け毛の関係はないとは言えず、アトピーもよくなれば、良好な頭皮環境になるため、抜け毛も減ってくると考えることができます。
アトピーが原因の抜け毛予防対策
➀アトピーの症状を悪化させない
②頭皮や髪の毛の乾燥予防
③痒みが強い時、ステロイドや抗ヒスタミン外用剤などで対処
④脱脂力が弱いシャンプーの使用
⑤亜鉛やビタミンを積極的に摂取
その他、体内の最大の免疫機構といわれる腸内の環境を整えることで、アトピーの症状を緩和できるといわれています。
腸内環境を良くする食事(食物繊維、オリゴ糖など)を積極的に摂るようにしましょう。
まとめ
個人差はありますが、頭も皮膚の一部と考えますと、アトピーの侵襲は考えられ、頭皮はダメージを受けるでしょう。慢性的な湿疹や強い痒みが、頭皮下にある大事な細胞を傷つけてしまいます。
また、アトピーも円形脱毛症も同じ免疫異常であること、併発している人が少なくないこと、これらを合わせると、アトピーも抜け毛の原因の一つになると考えることができるのではないでしょうか?
以上、AGAヘッドラインニュースでした!
参照URL:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版
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